[Jazz on Youtube]“Little Brown Jug –Glenn Miller Orchestra”2011/08/01 12:33

グレン・ミラー楽団 茶色い小瓶

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=RzMHMWjVZc0

 ジャズがまだまだダンス音楽だったころ、さらに音楽性を追求し歴史を進化させたグレン・ミラー楽団。そのヒット曲、「茶色い小瓶」は誰もが知っているジャズナンバーです。

グレン・ミラーは1904年、アイオワ州に生まれたドイツ系アメリカ人。トロンボーン奏者としてはあまり目立ちませんでしたが、彼の作・編曲は新しい風をジャズ界に吹きこみました。1937年に自分のバンドを結成し、数々のヒット曲を生み出しました。このころのグレン・ミラーの人気は絶大で、ビートルズの人気と比にならないくらいと言います。映画「グレン・ミラー物語」は、ジェームス・スチュアートとジューン・アリスンが主演し、私のお気に入り映画のひとつです。

 この曲は1869年にジョセフ・ウィナーが作曲しましたが、近年まで“民謡”とされていました。もともとは酒席で歌われるような誰でもが口ずさむ曲でした。アメリカの禁酒法は1919年から1933年まで続きましたが、その弾圧のせいか、その間は酒を題材にする曲がヒットしていたようです。お察しの通り、この「」は洋酒のビンを指しているんです。茶色い小瓶

歌詞は、「彼女はジン、僕はラムが大好き。友達をなくしてもボロを着る羽目になっても、やめられない。農場に行くときだって、茶色い小瓶を腰にぶらさげて、お酒と離れたくない」という、ちょっとアルコール依存症気味の内容。

映像はグレン・ミラー楽団による演奏。こんな若くてきれいな女性もこの楽団にいるんですね。年齢の幅の広さを感じます。それにしてもグレン・ミラーのサウンドはやっぱり心地よいですね。

池田みどり

[Jazz on Youtube]“As Time Goes By –Manhattan Jazz Orchestra”2011/08/15 12:29

Manhattan Jazz Orchestra “As Time Goes By”
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=UXpEH2FukJA#!
 
映画「カサブランカ」の挿入歌としてお馴染みの”As Time Goes By”。「時のすぎゆくままに」という邦題で知られていますが、「時が経っても」という意味合いのようです。もともとは1931年のミュージカル“Everybody’s welcome”のためにHerman Hupfeldが作詞・作曲したもの。クールなハンフリー・ボガードと、輝くような美しさのイングリッド・バーグマンの主演ということで、この曲がリクエストされることが多いようです。映画の中ではドーリー・ウィルソンが弾き語りをしていましたが、レコード会社のストライキによりレコーディングができませんでした。

 映画の中でも政治的な駆け引きと恋の駆け引きが絡み合うストーリーですが、この曲が作られた時期も社会情勢に目が離せない時期でした。折しも1933年は大不況の真っただ中、ヒトラー率いるナチスが政権を握り、不穏な時代の足音が聞こえ始めたころです。ナチスの手からのがれたアインシュタインはプリンストン大学の教授に就任し、米国に渡ります。彼はルーズベルト大統領に書簡を出し、核爆弾についての可能性について、ほのめかしています。その後、機密事項として核実験は進められ、ヒロシマ・長崎に被害をもたらすことになりました。アインシュタイン自身は核兵器製造には一切関わってはいなかったものの、後にこの書簡に関してひじょうに後悔し、核廃絶と戦争の根絶、科学技術の平和利用についての内容を記したラッセル・アインシュタイン宣言書に署名しています。

当時、世間を騒がせていた相対性理論についての少し批判的な歌詞が、この曲のヴァースには出てきます。
「アインシュタインの相対性理論には少しうんざりしてきた。現実に立ち返らなくちゃ、もっと気楽にいかなくちゃ。私たちが生きていく上で必要なのはもっとシンプルで、動かしがたいあたり前のことなんだから。キスはキス、溜息は溜息、どんな時代にも“I love you”は変わらない。女には男が、男には女が必要。昔から何も変わっちゃいないあたり前のこと。世界はいつだって変わらずに恋人たちを歓迎してくれる」

映像はManhattan Jazz Orchestra。ピアニストであり編曲家でもあるDavid Mathewが率いるオーケストラ。1989年に作られたばかりのバンド。なかなかかっこいいです。

池田みどり

Tenderly (「優しく」)2011/08/17 12:23

お盆を過ぎ日中の暑さはまだ厳しいものの、日が落ちると熱気も和らぎ、そよぐ風が心地よく感じられる夏の夕暮れ。今回は、夏も終わりに近づいたこの時期に、涼しい夜風に吹かれながら聴きたくなる‘Tenderly’(邦題「優しく」)を取り上げました。

<概略>夕暮れ時。風に揺れる木立の中をあてもなく歩いていると、いつしか2人は道に迷い霧が立ちこめる海岸に出る。心細さに不安になる「私」を「あなた」は優しく抱きとめた。。

美しい曲調の‘Tenderly’ですが、歌詞についても詞の主題や雰囲気を強調するような様々な技法や表現が用いられ、視覚的、聴覚的に美しい歌になっています。例えば、evening breeze (夜風)やtrees(木々)等の擬人化やtenderlyの反復によって「優しさ」や「愛情」が繰り返し描写され、また各行の末尾では同音の韻(tenderly, breathlessly)が連続的に踏まれ(=脚韻)、行の途中でもbreeze(そよ風)とtrees(木々)、kissed(口づけされて)とmist(霧)等のように規則的に韻を踏むことで、歌詞にリズムが与えられて心地よい統一感を醸し出しています。さらに、各語のゆったりとした響きが語の意味や主題と結びついて、詞全体がやわらかく優しい雰囲気になっているように感じます。他にも、breeze(そよ風)とtrees(木々)、you(あなた)とI(私)、shore(岸辺)とsea(海)というように2つのものを対照させ、その2つの出会いを描写することで、「2人」が優しく寄り添う様子が強調されているようにも思います。

英語で「優しい」を表す言葉はいくつか思い浮かびますが、tenderはラテン語のtenerem(「やわらかい/弱い/繊細な」)が語源です。夕闇が迫る中、道に迷って霧の立ちこめる海岸へ辿り着いた時の心細さをそっと包み込むような、そんな愛情のこもった「優しさ」がtenderなのでしょう。

文:藤澤ゆかり

『ポピュラーピアノ奏法』 第13回2011/08/21 12:17

稲森康利ポピュラーピアノ講座
『ポピュラーピアノ奏法』 第13回 (2011年8月14日)を受講して 

この講座が始まって1年が経ちました。ポピュラー、ジャズピアノの勉強としての一年はとても短い時間と言えます。しかし、この一年間学んで来た内容を自由自在に活かせる様になる事を考えると10年、いえそれ以上の年月にも匹敵するのではないでしょうか。そんな思いでこの文を書いています。今回は特にその年月の重さを感じた講座でした。
範囲はReharmonizationの続き、Upper Structure TriadによるHarmonization・4th Interva BuildによるHarmonization・Parallel MotionによるHarmonization(この3つでReharmonizatioは終り)。Chapter 8 INTRODUCTIONとENDINGの技法に入りa)ThemeのMotifを利用したIntorduction、b)Themeの和声を利用したIntroduction Ex.6までの学習です。
今回のHarmonization 3通りは、どれもSoundが重厚、且つJazzyです。例題のばら色の人生、ゴッドファーザー愛のテーマ等、どの曲も私が今よりはるかに多くの演奏の仕事をしていたときに、よく弾いていたナンバーですが、その当時に今、学習しているsoundで、そしてイントロを活用出来ていたら…と思う時すでに遅しデス。…これからの演奏の機会に生かしたいと思います。
テキストも終盤にさしかかってきましたが、あまりにも密度の濃い内容に気が遠くなりそうです。稲森先生もこの本の完成までの大変さを、“今だったら書けない”とおっしゃっています。この貴重な本で勉強させて頂く講座もあと数回のようです。この猛暑ももうすぐ落着きそうです。頑張りたいと思います。稲森先生ありがとうございました。

文:山口万弥

講座テキスト: ポピュラーピアノ奏法2

ザ・ジャズピアノ・ブック 第19回2011/08/31 12:47

稲森康利ジャズ講座
ザ・ジャズピアノ・ブック 第19回   2011.8.21

今回も前回に続いてブロック・コードの応用編です。
Drop2をパラレル・モーションやdimコードで使う方法を勉強しました。
Drop2を使った『You Don't Know What Love Is』と『Spring Is Here』の演奏も聴く事ができて嬉しい日でした。

トニックとドミナントはハーモニーの基礎。dimコードはドミナントの代理で、トニックの間にdimコードを挟むのはその型を作る為、という稲森先生の説明が頭に残りました。

次回もDrop2の続きです。

文:川地千賀