Someday My Prince Will Come (いつか王子様が)2012/03/12 14:12

3月になりました。寒暖の変化に戸惑いながらも、桜のつぼみが日ごとに膨らむ様子を見ていると春の訪れを実感します。今回は春にちなんだ曲の中から♪Someday My Prince Will Come(邦題「いつか王子様が」)を取り上げました。

<概略>いつか私の王子様がやって来る。いつか私は愛する人を見つける。今はまだ遠い場所にいるけれど、いつか夢に見た王子様が私の目の前に現れる。その時が来たらどんなに胸がときめくだろう。いつか春になって私たちは出会い、鳥たちは歌い、ウェディングベルが鳴り、私の夢はきっと現実になる。

元はディズニー最初の長編アニメ「白雪姫」の主題歌で、誰もが一度は耳にしたことがあるスタンダードではないでしょうか。「毒リンゴを食べてガラスの棺の中で眠る白雪姫。そこへ白馬に乗った王子がやって来る。王子が白雪姫の美しさに魅了されてキスをすると白雪姫は深い眠りから覚め、やがて王子と結婚し、いつまでも幸せに暮らした」というお馴染みのメルヘンを自分に重ねて、自分もいつか愛する人(prince)に出会って幸せになるという夢を歌っています。

白雪姫の童話と「いつか王子様が」というタイトルからして、女性の歌というイメージがあると思いますが、注意して歌詞を読んでみると、2番の歌詞にはThough she’s far away, I’ll find my love someday(愛する人は今は遠いところにいるけれど、いつか彼女を見つけてみせる)というフレーズがあり、これは男性の夢を歌っていることがわかります。女性の気持ちを歌った1番と男性の気持ちを歌った2番が掛け合いのようになっていて、2番から3番にかけては各フレーズの主語が一人称のIからweへと変化していきます。遠いところにいる女性と男性が出会いに向けて徐々に接近していくような、そんな言葉の効果を感じました。

ところで、「白雪姫」は私も幼いころに憧れた世界ですが、原作は女の子の夢物語という内容ではなく、キリスト教の倫理観や神話的な要素、当時の道徳観をベースに、高慢、嫉妬、憎悪、死と再生、罪、復讐など暗黒と恐怖の世界が描かれていて、決してロマンチックなお話ではありません。この歌詞をその原作に照らして深読みすると、王妃の座を狙う白雪姫の野望の歌という見方もできなくはありません。原作の白雪姫は受け身的に王子を待つ夢見る少女ではないことは、原作を読んだことのある方ならご存知のとおりです。

メルヘンの主題のひとつは愛を讃えることだと言われます。王子の愛によって白雪姫が息を吹き返すという奇跡は「悪いものは死滅するが愛は永遠に生き続ける」というメルヘンの主題を表していますが、この歌詞にも「愛は強し」「愛は奇跡を起こす」というテーマが一貫していて、とてもメルヘンな作品ではないかと思います。

3月14日はホワイト・デー、そして「白雪姫」は英語でSnow White。詞の内容からもこの時期に似合う曲のように思いましたが、いかがでしょうか。

文:藤澤ゆかり

稲森康利ジャズ講座「ブルース・ブルース」第5回2012/03/13 14:10

「ブルース・ブルース」第5回 2012.3.11

今回はバド・パウエルの『Straight No Chacer』のアドリブ分析をやりました。ブルーノートである♭3、♭7、またチャーリー・パーカーあたりから使われ始めた♭5を使用しているが、時々♭3がナチュラル3になってメジャーに戻る事もあるそうです。演奏するときは何処にブルーノートがきているか分析しながら弾く事が大切だと先生はおっしゃっていました。
シングルトーンばかり弾いているとハーモニーのある曲が弾きたくなると、先生の編曲された楽譜『ジャズ・ピアノ・スタンダード』から『My Foolish Heart』の演奏もありました。ハーモニーもアドリブもすごく素敵で、私もこんな風に弾ける様になりたいと心から思いました。
次回は最終回、セロニアス・モンクを取り上げます。

文:川地千賀


講座テキスト:ブルースブルースvol.1