♪Once Upon A Summertime(ワンス・アポン・ア・サマータイム)2012/07/09 22:22

7月になり蒸し暑い日が多くなりました。今回は夏にちなんだ曲の中から♪Once Upon A Summertime(ワンス・アポン・ア・サマータイム)を取り上げました。

<概略>あの夏の日をあなたは覚えているかしら。小さな花屋さんに立ち寄って、あなたに鮮やかな忘れな草の花束を買ってもらったわ。ちょうど今日のような夏の日で、私たちは笑いながら楽しい午後を過ごした。あれから冬が来ては去って行くけれど、夕暮れの鐘が鳴るといつも私は思い出す。あの夏の日にあなたが愛してくれたことを。

英詞はジョニー・マーサー、原曲はミッシェル・ルグランが作曲したシャンソン♪La Valse des Lilas(邦題「リラのワルツ」)です。夏の曲としてピックアップしましたが、歌詞に出てくるワスレナグサは春から夏にかけて花をつける多年草、また原曲の仏語歌詞(エディ・マルネ作詞)に出てくるリラ(ライラックの別称)は5月の花として歌われているので、このsummertimeは、日本で言うところの夏(7~8月)ではなく、もっと幅広い意味での夏季と捉えた方がよさそうです。ちなみにフランスではリラの花が咲く季節は1年で最もよい季節と言われていることから、人生で最も素晴らしい時期を指す喩えとしても用いられます。一方、ワスレナグサの英語名forget-me-notはご存じのように「私を忘れないで」という意味ですが、この名前には色々な伝説があり、そのひとつがドイツに伝わる悲話で、騎士ルドルフが恋人のためにドナウの川岸に咲くこの可憐な花を摘もうとしたところ、足を滑らせて急流にのまれてしまった。その時、ルドルフが最後の力をふりしぼって叫んだ言葉が「私を忘れないで」だったというものです。これらの花の持つ意味合いや言い伝えを思いながら歌詞を読むと、曲のイメージがさらに膨らむのではないでしょうか。
ところで、英語では文が単語化されたものが時々見られますが、このforget-me-notもその一例で、「私を忘れないで」という命令文が単語化したものです。現代の英語で「私を忘れないで」はDon’t forget me.ですが、古い時代においては助動詞 (do) の使い方やnotの位置が曖昧だったために今の否定の命令文とは語順が異なっています。他にも、do-it-yourself (略:DIY)(日曜大工;自分の手でやること)は見ての通り命令文が単語化したものですし、Good-by(e)は God be with ye (you).(神が汝とともにありますように)という文が短縮されて単語になったものです。
余談ですが、カタカナ語の「サマータイム」は「夏時間」のことですが、この場合は ‘summer time’ と2語で表します(主に英。米では通常Daylight Saving Time)。サマータイムは大体3月~11月に時計の針を1時間早めて太陽の出ている時間を有効利用する目的で主に欧米で実施されています。日の出時刻が早いこの時期、私も朝の時間を有効利用するなど自分なりの夏時間を設定して猛暑を乗り切りたいと思います。
文:藤澤ゆかり



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