[Cinema de Jazz]"追憶~The Way We Were”2012/12/21 16:42

 バーブラ・ストライザンドの熱唱で有名な「追憶」。彼女は女優としてあるいは監督としてのみならず、脚本家・作曲家などとしても活躍し続けています。米国でもっとも成功した女性エンターテイナーとしての地位は、追随を許しません。

 1973年公開のシドニー・ポラック監督作品「追憶」は、ロバート・レッドフォードとの共演で話題を呼びました。政治にのめり込むケイティ(バーブラ・ストライザンド)と、政治には関心がなく映画脚本家になるハベル(ロバート・レッドフォード)との、正反対のふたりの恋愛物語。バーブラ・ストライザンドは実生活でも、熱心な民主党支持者として知られ、政治活動に関わってきました。ロバート・レッドフォードはご存じのとおり、1980年「普通の人々」を制作、その後、映画監督として活躍しています。

 主題歌「追憶」はアラン&マリリン・バーグマン夫妻の詩に、マーヴィン・ハムリッシュが曲をつけています。マーヴィン・ハムリッシュはエミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞、ピュリツァー賞をすべて受賞しており、このマルチ受賞は、彼の他には、大物作曲家リチャード・ロジャースしかいません。ミュージカル「コーラスライン」の音楽を担当し、「スティング」「ファニーガール」「007私の愛したスパイ」「普通の人々」など多くのヒット曲を生み出しています。「追憶」は1974年に、アカデミー主題歌賞を受賞しました。バーブラ・ストライザンドの17枚目のシングルとしてリリースされ、ビルボード誌年間ランキング第1位になっています。これによって彼女は1955年以来2人目のビルボード誌年間ランキング第1位の女性ソロシンガーとなりました。

 映画のあらすじ:大学で机を並べて勉強するケイティとハベルは、まるきり思想の違うふたりだった。第2次世界大戦中、海軍大尉となったハベルに偶然再会したケイティ。ふたりは恋に落ち結婚する。ケイティは政治活動を続けながらも、ハベルの脚本家としての創作活動を励ます。やがて彼は認められるようになり、映画化も決まった。そんな折、マッカーシズム…いわゆる赤狩り(共産主義狩り)が映画界にも大きな影を落とす。ケイティは反共産主義として政治活動にのめり込み、ハベルは創作の自信をなくしていく。妻の政治活動が、夫のハリウッドでの活動に影響を及ぼすことは必至だ。浮気の疑念も湧く中、心が遠ざかっていくハベルとの離婚を切り出すケイティ。離婚後、街中で偶然に再会するふたり。思い出される過去。追憶は記憶として胸にそっとしまわれる。

文:池田みどり

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