絶対音感2013/07/30 22:04

音楽に関わる人たちは、皆さん「絶対音感」に関心をお持ちのことと思います。そこで、江口式創始者である江口寿子先生師事され、教室で絶対音感を指導されている坂東仁美さん(稲森康利先生に師事してジャズピアノ研究中)に、指導経験も踏まえて紹介文を書いていただきました。江口式は、幼児教育の一環として、絶対音感の訓練と相対音感の訓練を組み合わせた方式です。

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【江口式絶対音感プログラム】
絶対音感はかつては、生まれつきの才能と思われていましたが現在では訓練によって身につける事ができる幼児の才能開発の一つです。但し絶対音感を身につけるには2歳位から始めるのが理想で遅くとも6歳半迄に始めないと身につきません。人間の脳の発達期(右脳の時期)にしか身につけることはできません。これは脳科学者の方々の研究で、科学的にも証明されています。ですので残念ながら私たち大人には、どんなに頑張っても身につけることはできません。

でもがっかりしないでくださいヽ(`⌒´)ノ  大人は相対音感の練習をすれば良いのです。 大人が身につけられるとしたら、与えられたある1音を手掛かりを元にそこから比べていく、相対音感というものになります。

絶対音感の訓練にはピッチ式とクローマ式があります。
ピッチ式というのは始めから単音で入れていくため、仕上がっても単音としてのイメージが強すぎて、転調していても全く気が付かないということにもなりかねないのです。
余談ですが、昔々ピッチ式でついた人の中に、戦時中に戦闘機の音や魚雷を聴き分けるために訓練された、気の毒な絶対音感を身につけてしまった方もおられたそうです・・・。
ピッチ式の人はいつも同じピッチでないと気持ちが悪かったり、その人が訓練した時のピッチと聴いた音楽のピッチ(近頃はオケも高めですよね~)が違ったりすると演奏会に行っても気持ちが悪くて楽しめないとか・・・。また無伴奏で合唱をした時に全体にピッチが下がってくると気持ちが悪くて一緒に歌えないというような事になってしまい、持っていても不自由なものになる人もいるようです。
ただこれは調性の枠組みの理解やスケールや転調といったものの訓練をしておけば解消されるはず、ですの気持ち悪いなどと言っている人はそこまでの勉強をしなかった人ということになるのでしょう。

私がご指導している江口式(クローマ式)は始めの段階に和音でいれていきますので、その人が音楽の流れの中(たとえば(ⅠⅣⅤⅠ)で音をチョイスしていくので、とても自然に歌うように聴こえてきます。取り出す力といった方がわりやすいかもしれません。

【練習方法】
具体的には主要3和音の転回型である9個の和音と、A、D、E、B♭、E♭で計14種類の和音をお母様の弾かれるピアノの音で記憶します。お子さんは1~2歳ですので、色ハタを使います(*^-^*)ノ~~~『あか~、ちいろ~(キイロ)』という感じですね(。◕‿◕。)かわいい
そして最後にその中からチョイスしていきます。

 絶対音感のお稽古を成功させるには毎日決まった量の音と問題をピアノでお母様に弾いて頂きます。でもここが重要で育児もなさる訳ですから飽きっぽい(人間は基本そうです!)お子さんをどう練習に誘うかでみなさん苦労なさいます。ここでそうしたお子さんのコントロールがお上手なお母様や親子関係もでてまいります。私たちインストラクターはそのお母さま方にどのようなアドバイスができるかがとても重要になってまいります。

また、身につけた絶対音感はその後のケアをちゃんとしないと自然に消えてしまいます。
私のお教室ではついた絶対音感を安定させるため、単音がピアノの鍵盤の88鍵全てが正答した後に、コードネームの音当て(4和音、5和音、6和音)やスケールの音当てなどをしてさらに相対音感の練習をいたしますので子共たちはクラシックに限らず、いつの間にかジャズやポップスも楽しんで弾いています。また、耳コピーが得意なので、流行りの曲も自分で聴き取って伴奏をつけて弾いています。C管以外の管楽器をはじめる場合はなおさらです。稲森先生のジャズキッズなどは大人気で、子供たちが耳でアドリブをコピーしたり、自分のアイデアで楽しんで弾いてます。

まとめ
私は、ただ音がわかる絶対音感などは無意味だと思っております、使えてこその絶対音感です。 ついた音感はその子供た
ちが自分の足で(指ですね~)歩いて使ってこそ意味があると思います。 ここらあたりで、ソルフェージュの重要性がで
てまいりますね。

文: 坂東仁美
白金高輪ひとみ音楽教室♪
http://www.hitomi-music.com/


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さらに興味のある方はこちらもどうぞ。
絶対音感保有者の音楽的音高認知過程 1997年度~1998 年度 文部省科学研究費補助金 (基盤研究 C ) 研究成果報告書
http://www.human.niigata-u.ac.jp/~psy/miyazaki/Papers/Report1999/Report1999.html

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