Misty (ミスティ)2011/10/08 20:10

朝晩のひんやりとした空気や金木犀の甘美な香りに秋を実感するようになりました。10月に入り秋も本番を迎えた今回は、俳句などの世界では秋の季語とされる「霧」をテーマにした♪Misty(邦題「ミスティ」)を取り上げました。

<概略>どうしたのかしら?あなたのそばにいると霧の中を歩いているように目がかすんでしまう。私のところに来て!霧の中で困っている私を助けられるのはあなただけなの。。

恋する自分に戸惑う女の子の気持ちを霧に包まれ道に迷った状態に喩えた初々しく愛らしい歌です。mistyには「霧の深い」「霧のかかった」という意味のほかに「もうろうとした」「あいまいな」の意味もあって、まるで霧をへだてたようにぼんやりとした状態や心情を表す時にも使われます。

英語の「霧」にはfog, mist, haze がありますが、その違いは「(霧の)濃さ」で、一般に視界が1km未満の霧をfog、1km~2kmの霧をmist、更に薄くなるとhazeで、hazeは日本語では「もや」と訳されることが多いようです。fogは視界がきかないほどの深い霧のことで、その昔ロンドンがfogで悪名高かったことはご存じのことでしょう。19世紀後半以降、ロンドンでは工場などからの排ガスや石炭燃料による煙や煤が霧に混じって、smog(スモッグ)という現象を引き起こし大規模な大気汚染、健康被害をもたらしました。20世紀初頭のロンドンの霧はとても濃く汚れていて、視界は15メートル以下、エンドウ豆のスープのようだ(as thick as "pea-soup")と言われるほどでした。

「霧のロンドン」と言うとロマンチックなイメージを抱かれるかもしれませんが、ロンドンの霧とはこのsmogと同義語と言っても過言ではなく、イギリス人にとってfogという言葉のイメージは決して良いものではないようです。ちなみにsmogはsmokeとfogの合成語です。

「霧」をテーマにしたスタンダードには♪Foggy Day(邦題「霧深き日」)もありますが、歌詞を読んでみるとこちらの「霧」(=fog)は否定的な意味で使われていることがわかります。日本語では同じ「霧」でもmistとfogでは、視界の程度だけではなくその意味するところに違いがあるのです。

文:藤澤ゆかり

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