NO MORE BLUES 〔 Chega de Saudade 〕1958年 ― 2012/04/10 14:08
もうすぐ春ですね。卒業や新しい生活が始まるシーズンですが、戸惑った時には生まれ育った故郷を思い出して元気になる方も多いのではないでしょうか?ブラジルではそんな故郷に想いを馳せる郷愁を帯びた感情を〔サウダーヂ〕といい、悲しみと希望が隣り合わせる感覚が根底にあります。今回はJAZZでも多くカヴァーされているBOSSA NOVAの作品、「NO MORE BLUES」について解説させていただきます。
この曲はブラジルの作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンによって書かれた曲で、記念すべきボサノヴァ第一号曲!!と呼ばれる重要な曲です。リオの伝統音楽ショーロ(ブラジル版ジャズとも言われ、即興性を持つフルートやギターから成るアンサンブル)からヒントを得て作った作品です。
彼の音楽は、故郷リオデジャネイロの音楽以外にバッハ、ドビュッシー、ラベルの影響を受けたと言われ、単なるポピュラー音楽と違った複雑な構造を持つ作品も見られます。あまり日本では知られてませんが、1975年に発表されたアルバム「Urubu」ではオーケストラ作品も収められています。
まずこの曲の歌詞を一部ですがご紹介します。
① 悲しみさん 彼女に言ってやってくれないか おまえなしでは駄目なんだと
お願いだから 戻ってきてくれと 僕は生きていけないよ
思い出はもうたくさん 彼女なしでは 心の平和はあり得ない
この世にはどんな美もあり得ない それにしても終わりがないのは
僕の中に廻っている この悲しみこの憂鬱
② でも 彼女が帰ってきてくれるなら こんなすばらしいことはない
僕はたくさん彼女を愛するよ………(以下省略)
曲頭は短調(Minor)で始まり、歌詞も①のような悲しい内容です。ですが、②の部分に入ると曲は一変、同主調の長調 (Major) に転調します。歌詞も前向きで明るいものになります。
②の部分以後は長調でありながらも、Ⅱ度やⅥ度のような短3和音をベースにした部分や準固有和音( 同主短調からの借用和音)が多く、まさに希望と悲しみが隣り合わせているような印象を受けます。
また、この曲は②の部分で今までと違うメロディを挟みますが、最後に冒頭で短調だったメロディが長調になって現れます。クラシック音楽のように計画的に作られている様子が伺えます。
ジョビンの曲はJAZZのポピュラーな曲に比べると、原曲でもコードが頻繁に変わる曲が多く見られますが、それもジョビンが考え抜いてこだわったハーモニーなのでしょう。
文:中田美月
中田美月 プロフィル
東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。JAZZ奏法・理論を稲森康利氏に師事。ヤマハ指導グレード3級取得。現在ピアノ、作曲、ソルフェージュ講師をしながら、JAZZ、BOSSA NOVAを研究。
この曲はブラジルの作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンによって書かれた曲で、記念すべきボサノヴァ第一号曲!!と呼ばれる重要な曲です。リオの伝統音楽ショーロ(ブラジル版ジャズとも言われ、即興性を持つフルートやギターから成るアンサンブル)からヒントを得て作った作品です。
彼の音楽は、故郷リオデジャネイロの音楽以外にバッハ、ドビュッシー、ラベルの影響を受けたと言われ、単なるポピュラー音楽と違った複雑な構造を持つ作品も見られます。あまり日本では知られてませんが、1975年に発表されたアルバム「Urubu」ではオーケストラ作品も収められています。
まずこの曲の歌詞を一部ですがご紹介します。
① 悲しみさん 彼女に言ってやってくれないか おまえなしでは駄目なんだと
お願いだから 戻ってきてくれと 僕は生きていけないよ
思い出はもうたくさん 彼女なしでは 心の平和はあり得ない
この世にはどんな美もあり得ない それにしても終わりがないのは
僕の中に廻っている この悲しみこの憂鬱
② でも 彼女が帰ってきてくれるなら こんなすばらしいことはない
僕はたくさん彼女を愛するよ………(以下省略)
曲頭は短調(Minor)で始まり、歌詞も①のような悲しい内容です。ですが、②の部分に入ると曲は一変、同主調の長調 (Major) に転調します。歌詞も前向きで明るいものになります。
②の部分以後は長調でありながらも、Ⅱ度やⅥ度のような短3和音をベースにした部分や準固有和音( 同主短調からの借用和音)が多く、まさに希望と悲しみが隣り合わせているような印象を受けます。
また、この曲は②の部分で今までと違うメロディを挟みますが、最後に冒頭で短調だったメロディが長調になって現れます。クラシック音楽のように計画的に作られている様子が伺えます。
ジョビンの曲はJAZZのポピュラーな曲に比べると、原曲でもコードが頻繁に変わる曲が多く見られますが、それもジョビンが考え抜いてこだわったハーモニーなのでしょう。
文:中田美月
中田美月 プロフィル
東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。JAZZ奏法・理論を稲森康利氏に師事。ヤマハ指導グレード3級取得。現在ピアノ、作曲、ソルフェージュ講師をしながら、JAZZ、BOSSA NOVAを研究。
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