「Inside Outside」第6回2010/07/21 21:45

稲森康利ジャズ講座
「Inside Outside」第6回目(2010年7月11日最終回)を受講して

講座は前回の後半から曲の分析に移りました。今回も曲は前回と同じグレートコンポーザーシリーズ「ジョージ・ガーシュインvol.1」からの2曲です。

●「Someone To Watch Over Me(誰かが私をみつめている)」
この曲には他に「やさしい伴侶を」という和訳のタイトルがついています。いづれにしてもメロディーからはふくよかな溢れんばかりの「愛」を感じます。稲森先生のアレンジは、まずイントロで旋律とBassを並行して下行させてあります。さらにテーマに入ってからもメロディーとBass Lineを並行(下行)させるリハモナイズを行い、これによりこの曲のイメージをはっきり印象づけられている様に思います。
そして前回の「The Man I Love」と同じく一種のDominant Motionを応用した半音下のkeyへの転調と、その後にくるテーマ部分の「感覚的に捉えた」と言われたリハモナイズにより、曲の深い所へ引き込まれて行く様です。
又、ヴァースを曲の途中に挿入されている事で曲全体がスケールの大きいとても豊かな感情の、聞き応え、弾き応えのある大作に仕上がっている様に思います。まるでこの一曲で一本の映画を観ているかの様です。
リハモナイズをもう一つ。Ⅴ7をⅡm7-Ⅴ7に分割する手法がメロディーに用いられています。その効果はちょっとしたインパクト感を生み、曲が引き締まって聴こえました(ちょっとの大切さがよく解かりました)。
この曲は「幸せ」で全身を包んでくれます。いつでも弾ける状態にしておきたいと思います。

●「My Man's Gone Now」
憂いを帯びたこの曲は何て美しいのでしょう。先生が弾いてくださっている間、私の心はアメリカに飛んでいました。今、この原稿を書く前にオリジナル(一段譜)の方と先生のアレンジの両方を弾いてみました。オリジナルの方は曲のイメージが今一つ、つかめません。背景が浮かんでこないのです。先生のアレンジからは、まずkeyがEmに設定された事により、Minorの陰影がより色濃く感じられます。そしてリハモナイズとハーモナイズにより、曲全体が一層、洗練された高みへと変身(?)している様に思います。
それと、あらためてガーシュインの凄さを思い知らされました。この曲は衝撃をもって心に刻まれました。



6ヶ月、6回の講座が終わりました。短期間ではありましたが、「Inside Outside」ではたくさんの手法を学ばせていただきました。そして「曲の分析」では、先生はアレンジする上での奥儀とも言うべき手法をおしげもなく私たちに教えてくださいました。たいへん貴重な講座を受講させて頂いたと思っております。稲森先生、本当にありがとうございました。心より感謝とお礼を申し上げます。
以上、最終回に寄せて…。

(文:山口万弥)

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